「素人にはおすすめできない」

4月25日の記事なので、ものすげえ遅レスではあるのですが、(中途半端に訳して放っておいたテキストが今ごろになって発掘されたので)ちょっと紹介してみます。

eComStation:万人向きではない

(前半略)……新機能を期待する人々にとって、OS 自身に目立った変化が見られないことは不満だが、以前との互換性がなくならなかったことは多くのユーザに歓迎されることである。というわけで、eCS には OS/2 からの劇的な変更はない。最新版であっても以前と同じハードウェア上で同じように動く。追加コードで唯一目立つのは JavaMozilla 系の Web 用アプリケーションなどの追加ツールで、実のところ、これらの目ぼしいものは LinuxBSD などからの移植である。

ネット上にあまり存在しないということもあって、eCS を対象とするウィルスは存在しない。ウィルスの典型的なものは eCS で動かない。OS/2 Server のラックを運用しているが侵入行為の類を一度も受けたことがない、という人たちを個人的に知っている。最大の脅威は雷と現物の盗難だ。サーバ OS としてみれば LinuxBSD 並には堅牢であり、古めのマシンでも十分使える。

しかし本格的な採用にあたって大きな障害がある。古めのPCでないと eCS や OS/2 が動かせないのだ。私の手元にあったハードウェアはほとんどダメだった。そう、ドライバも手に入るだろうしインストールの説明もけっこうあるだろうと思ってしまっていたのだ。OS/2 のコミュニティはおおむねよい印象で、私が行ったフォーラムや Usenet グループも滅多に荒れない。しかし修正の入手と適用の手順はいままで試したどの OS とも違う。まったくどうしようもなく中途半端で、方法はあるはずなのだが、まだエラーを直してブートする方法がきちんとわかっていない。どうにもこうにも簡単にはいかないようだ。つい最近、グラフィックドライバを提供していた唯一のベンダである Scitech が開発を終了してしまった。SMP モードでカーネルを動かすのは簡単だが 64 ビットへの取り組みはまったくない。新しめのハードウェアの多くも使えるが能力面ではいまいちで、なかには使い物にならないものもある。OS/2 のフォーラムには、相性のよいごく少数のマザーボードを絞り、それ以外のものは避けよという書き込みが載っている。

ハードウェアに金をつぎ込むかわりに Windows とほぼ同価格の製品版 eCS を買っておけ、とはちょっと言えそうにない。同梱のドライバが多くないためインストールがまったく厄介で、CONFIG ファイルの編集で上級者の支援を仰ぐことになる。Linux のときは DOSEmu を正しく設定するのがちょっと厳しかったが、eCS では設定ファイルで何をどういじらないといけないのか何ヶ月たっても理解できない。個人的にいちばん参るのは、何もかもとにかく面倒くさいことだ。Serenity は安定版 (1.2R) とリリース候補 (2.0 RC4) を提供してくれた。これまでに6台のマシンでその両方を試してみたのだが、いつも何か問題が出て使いものにならなかった。(ハードウェア環境の)固定化がおおむね必要とされ、結局いつもサポートが貧弱なしょぼいハードウェアに落ち着くのだった。

何週間か後には、もっと相性のいいハードウェア上に eCS を突っ込んでテストできると思いたい。起動時の問題は解決できていない。ともかく動かせれば、壁の向こうに何かしら見出せるのだろうが。

…もう何週間か以上に経っていますがその後のレビューがない。諦められちゃった気配が濃厚。それにしても6台試して全滅ってのは運が悪すぎではなかろーか。ハードウェア構成を晒したほうがよかったと思う。誰かエスパー呼んでこい。(まともにインスコさえできないということならたぶん SATA がらみの問題だと思うんだけど…ビデオは SNAP が対応してないカードでも一応 VESA モードでいけるはずだし)

いちおう念のため書いておくと、この先リリース予定となっている eComStation 2.0 の主な変更点は ACPI サポートと JFS からのブート対応(今までのだと FAT16 か HPFS 区画からしかブートできなかった)かと思われます。まあ要はドライバさえちゃんと用意されていれば最近の PC のフィーチャーがそれなりに使える OS/2 ってことになるんじゃねーのかなー、みたいな…なんか投げやりでアレですが、ぶっちゃけ、買う気がないのでかなり適当。